書籍紹介:ハーバード流交渉術

お役立ちポイント

法務担当者としては、取引の相手方との契約書のやり取り等、”交渉”の局面は必ずありますが、皆さんはどのようなことを意識して”交渉”をしていますでしょうか。一般的な”交渉”のイメージといえば、なるべく手の打ちは見せず、ハッタリを仕掛けたり、相手の質問をはぐらかしたりする「駆け引き型交渉」が多いのではないでしょうか。本書は、そうした「駆け引き型交渉」とは異質の「統合型交渉」と呼ばれる交渉方法が紹介されています。

 この本を読まずとも、以下で紹介する「統合型交渉」の考え方を自然と使っている方がいらっしゃるかもしれません。しかし、これを知識として知っておくことで、交渉の局面で「駆け引き型交渉」とは違った「統合型交渉」の考え方を意識的に持つことにより、取引の相手方とより有益な交渉をすることができるようになるのではないかと思います。

統合型交渉とは?

統合型交渉とは、「立場ではなく、利害に焦点を当てる」という言葉で説明されています。「立場」とは交渉における結論、「利害」とは結論に至った理由を指します。本書では次のような例が挙げられています。


図書館で二人の男が言い争っているとしよう。一人は窓を開けたいし、もう一人は閉めたい。(中略)そこへ図書館の司書が入ってきた。彼女は、一方の男性に何故窓を開けたいのか尋ねた。「新鮮な空気が欲しいからですよ」と彼は答えた。次にもう一方に、何故閉めたいか尋ねると、「風にあたりたくないんですよ」という答えだった。彼女は、隣の席の窓を開けた。こうして風に当たることなく新鮮な空気が入れられ、二人の男は満足した。

フィッシャー&ユーリー/金山宣夫 浅井和子訳(1990年)ハーバード流交渉術 知的生きかた文庫

ここで男たちの「立場」(=結論)は「窓を開けたい」と「窓を閉めたい」となっており、対立しています。このとき、どうして窓を開けたいのか(閉めたままでいてほしいのか)というお互いの「利害」(=理由)に焦点を当てます。すると、一人は換気したい、もう一人は風に当たりたくないといいます。そこで、風にあたらない場所の窓を開ければ両方の利害が満足する解決策になるというわけです。

この例では司書が問題を解決していますが、交渉の局面では、男たちのほうで話し合いを行い、自分の利益を保持しつつも、相手の立場に立ち、相手の利益を達成できるよう配慮することが重要になります。「駆け引き型の交渉」のように、はったりをかましたり、質問をはぐらかすのではなく、利害を積極的に開示し、解決策を双方が一緒に考えていくというのが「統合型交渉」の考え方です。

最後に

統合型交渉では、相手から利害に関する情報は開示されてはいるものの、ウィンウィンの解決策が思いつかないことも多く、全てのケースを統合型交渉の考え方だけで解決していくのは、さすがに難しいですが、考え方の枠組みとしては非常に有用だと思います。レベルの低い契約交渉だと、相手方から修正理由の説明がもらえなかったり、社内ルールですので譲歩できないの一点張りだったりということも多いですが、そういう場合に、統合型交渉の方向性に持っていけると有益な交渉になっていくと思います。(交渉の窓口が営業担当の場合は、この考え方を営業担当の方にも共有してもらうとスムーズに進みますね!)  

本書では、今回紹介した統合型交渉以外にも多くの基礎的な考え方が示されておりますので、法務担当として交渉の考え方(マインド)を学習したいという方におすすめの一冊です。

ではまた~

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