最低限営業さんに押さえておいてほしい契約書のポイント

会社によって営業さんがどこまで契約書に関わるかは結構違いがあると思います。定型的な業務しかないところですと、契約関係のやり取りはすべて法務が行うという会社もあるようです。しかし、中小企業になりますと、法務の人材も少ないこともあり営業担当が自分の案件の契約書にある程度関わるということも多いのではないでしょうか。そこで、今回は契約書に関わる営業さんに、最低限押さえておいてほしいポイントをまとめてみました。

①記載の抜け漏れがないか。

契約書前文の”○○(以下「甲」とする。)と○○(以下「乙」とする)の部分や、捺印欄などは、ひな型で空欄となっているため、そのままにしてしまう場合があります。(そのほか契約書の条文中に締結日や納品日などが空欄となっているケースもあるので注意!)製本する際には、空欄になってしまっている部分がないか必ずチェックしましょう。

②住所、会社名、代表者の肩書、代表者名に誤りがないか。

特に誤記が多いのが、代表者の肩書です。代表取締役と代表取締役”社長”では、肩書が変わってきてしまうので注意しましょう。また、中島と中嶋や、渡辺、渡邊、渡部などのミスもしてしまいがちですので要注意です。

③契約締結日や契約期間、納品日など日付に誤記や矛盾はないか。契約締結日が業務開始後になってしまう場合には、遡及文言が記載されているか。

契約締結日が本来2019年のものを2018年にしてしまっていたり、契約期間や納品日の日付がずれていないかを確認しましょう。また契約内容を変更する覚書等の場合に、「〇〇年〇月〇日の業務委託契約書について・・」というように、原契約の締結日付が記載されることもありますので、その日付も正しいか、必ず原契約を参照して確認するようにしましょう。

また、会社によってどこまで厳格に対応しているかは違いがあるところですが、契約書の締結は業務開始日までに済ませるのが大原則です。しかし、様々な理由により、業務開始前に契約書の締結ができないケースもありますので、そのようなときは、安易にバックデート(契約締結日に実際の捺印時の日付ではなく、過去の日付を記載すること)せずに、遡及文言(本契約の効力は○○年〇月〇日に遡って生じる。)を契約書の前文等に記載し、契約締結日は実際の捺印日にするのがよいと思います。

④条文番号にずれはないか

契約書の修正が生じると番号がずれることがありますのでチェックが必要です。特に注意していただきたいのが、契約書の文言の中に記載されている条文番号です。よく解除条項などに、”○○条及び○○条に違反した場合~”など条文番号が書かれていますが、契約書が条文が一つ削除された場合などは、文言中の条文番号もずれてくることがありますので忘れずに注意しましょう。

⑤反社条項等必ず入れるべき条文は入っているか。

会社によって契約書に必ずいれるべき条項が色々とあると思いますが、それが入っているかは確認しましょう。先方提示のひな型ですと、自社と異なる文言を使っていることもありますので、自社が回避しておきたいリスクが回避できているか文言まで確認しましょう。

⑥第三者の権利義務について記載してしまっていないか。

契約書の効力は当事者間でのみ生じます。つまり、第三者(捺印欄に記載がない者)に対しては、効力が生じません。第三者に対して権利主張することが必要な場合には、三者間の契約にするか、別途第三者と契約を締結するといった対応が必要になります。

ざっと、注意すべきポイントを列挙してみました。日々契約書チェックをしている法務担当の方々は、上記に挙げたポイントのミスがあると、ちょっとあ~またか・・的なこともあるのではないでしょうか(僕が入社してすぐの頃は、これらのミスが多くて契約書の内容よりも、形式面のチェックに時間が取られてしまっていました。)。とはいえ、営業さんも毎日取引先や自社事業部との連絡調整や、企画書の作成・プレゼン等非常に様々な仕事をしていますし、そもそも法律の知識や経験もない中で契約書を読み込むのは結構な負担になります。形式面については、最低限上記のポイントを押さえておけば、僕としては、おっけーかなぁと思います(ちょっと甘い??笑)。

この記事を参考に、営業と法務のお仕事がほんの少しでも効率化されるととっても嬉しいです。

ではまた~

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