うちの法務はこんな感じという話

他社さんの法務担当の方のTwitterとか拝見していますと、どんなことをどんな人員体制でやっているのかはやっぱりちょっとわかんないなぁと思ったりもします。そこで、今回はうちの法務のお仕事はこんな感じですよというのを紹介したいと思います。ちなみに会社規模としましては、従業員数1000人程度の非上場企業です。

目次

仕事の概要

まず僕はうちの法務の仕事を3つの領域に分けて考えています。これらの業務を専任のほうむくん+2名で行なっています。メンバー2名は、それぞれ半分ぐらいは法務以外の仕事をしています。

1.事業に関する法務(リーガルチェック、相談対応、契約書管理、反社チェックや信用調査)

2.会社運営に関する法務(株主総会議事録作成、登記手続き)

3.内部統制に関する法務(pマーク、コンプライアンス研修・通報窓口、規程類)

事業に関する法務

これはどの法務でもあると思うのですが、リーガルチェックやら相談やらなんやらですね。会社の業種等によってかなりばらつきがあるところで、海外事業も行っている会社ですと、外国語のスキル、外国法の知識も必要だったり、さらにハイレベルな能力が必要になってきます。うちも場合海外事業もなくはないですが、Google翻訳でなんとなく翻訳してまぁ何となくこなしてます・・・(笑)

リーガルチェックに関しては、やはり専門知識やこれまでの経験というのが大事になり、法律の知識がない人に簡単に研修してやらせるというのが難しいところです。そのため現在は僕一人で行っています。ただ、法務担当一人に俗人化してしまうことは会社としてはリスクだと僕は考えております。そこでリーガルフォース(AIレビュー)を使って、ナレッジを蓄積し、リーガルチェックのハードルを下げようとしているところです。

契約書管理については、事務作業的な側面が大きいところです。きちんと管理ができていないと締結済みの契約内容へのアクセス等に時間がかかり地味に法務の業務(営業&事業部の業務もですね。)を圧迫します。この契約書の管理については、僕が入社する前から比較的きちんとなされておりましたが、リーガルフォースキャビネを導入することでより契約書管理を効率化し、アクセス性が向上しました。

あと皆さん顧問弁護士への相談ってどれぐらいしていますかね・・・?うちは結構少なくて2か月に1回くらいしか相談しないです。それに労務的な相談の方が多い感じですね・・。

会社運営に関する法務

こちらは登記関連だったり、株主総会議事録を作ったり。他にも証明書類(登記簿・印鑑証明)を取得したりというところですね。

登記手続きや証明書類の取得については、登記・供託オンライン申請システムの申請用総合ソフトを使ったり、郵送請求したりして取得しています(前は、いつも法務局や税務署に取りに行ってました・・・。)。

また昔は登記手続きや株主総会議事録の作成は司法書士の先生にお願いしていたのですが、所有権移転登記や重任登記等調べてやってみるとあれ?お願いしなくてもできそう・・?と思って、簡単な登記手続きは自分たちでやるようにしました。今は僕よりもメンバーの方が手続き等を熟知していて、ちゃちゃっとやってくれています(これ以外とすごくないですかね??)。

内部統制に関する法務

Pマーク関連が業務の8割ぐらいを占めます。内部監査の時期や更新審査のある年は結構大変ですし、定期的に個人情報保護法も改正されるので知識のアップデートも必要です。自社の規程を理解し事業部とも調整しつつスケジュール通りに進め、書類を作成していかないといけないので、意外と高度なサラリーマン力?が必要だったりします。

またPマーク研修やコンプライアンス研修なども実施していかなければなりませんので、そのあたりのスキルも強制的に身につけられます。研修資料作ったり、テスト作ったりするのは好きなので楽しんでやってますが、たまに凝ったもの作ってしまって時間かけすぎちゃうんですよね・・・。

内部統制については、うちの会社はまだまだ手を付けられていないこともたくさんあって、これからの課題が多い領域だなぁと思ってます。

この他にもいくつか法務でやってる仕事はありますが、法務としての基本的な仕事は上記の3つと思っています(分類分けは独自のものです。)。これ以外にも稟議制度の構築やら社内報だったり・・・。

3つの領域に必要な資質ついて

上記の3つはそれぞれ異なる能力と知識が必要です。

事業に関する法務では、法律の知識や事業に関する知識はもちろん事業部の方と上手くコミュニケーションを取ることができるというのも重要です。特に法務の場合、この人大丈夫?本当に法律の知識ある?と思われてしまうと物事が理想的に進まなくなるので、きちんと分かるように説明をするといったことも必要です。

会社運営に関する法務でも、もちろん法律の知識は必要です。ただ法的解釈があまり難しくはない手続き的な知識が多いですので、思考力というよりはきちんと調べる調査能力と書類作成・準備能力がより重要な資質となります。法務への入口としてはこの辺りの業務から始めると成果が出やすい(成長が実感しやすい)ので良いのかなと思っています。

この領域に関しては上場企業になると、おそらく業務量も業務レベルも一気に跳ね上がるのかなと思います。

内部統制に関する法務では、うちの法務の場合はpマーク事務局がメインです。そのため個人情報に関する知識が特に必要になってきます。また、pマークの運用にあたっては、内部監査やその報告、教育研修など1年を通してさまざまなプロジェクトを進めないといけないため、スケジューリング能力も必要です。また、個人情報保護法は定期的に改正されますので、きちんとその都度知識を入れていくということも必要なので勉強嫌いには不向きかも知れません。ただこの業務を熟知し、さらにはセキュリティ分野にも詳しくなっていくと転職などの際、かなり人材価値というのは上がるのではないかと思っています。

また、不祥事だったり、内部通報だったり、何かがあるとその対応が必要になり、突発的に業務量が増えるという特徴もあり、色んな事が重なってしまうと地獄です・・・。

将来的な目標

この3つの領域をそれぞれ1人がリーダーとして担当するような体制を作るのが目標です。自分がリーダーではない領域の中では、僕も含めてメンバーの1人というイメージです。

このような体制をなぜ目指しているかと言いますと、一つはメンバーに主体性をもってもらうためです。業務の一部を切り取り、事務的な部分のみやってもらうというような仕事の任せ方ではメンバーの主体性が生まれにくいと思ったからです。

そしてもう一つは、自分とメンバーのキャリアという観点から経験と実績をきちんと積むためです。今の会社でキャリアアップしていくにせよ、他社に転職するにせよ、これまでの経験と実績が必要です。主観的に自分がこの仕事をやり切った、自分はこの仕事ができると思えて、客観的にもそれを第三者にアピールするためには、誰かの手足としてこなした経験ではなく、自分が主体的に取り組んだ経験と実績が必要と思ったからです。

最後に・・・

色々と書いてみましたが、現時点ではまだまだ目指している体制の10%ぐらいというところです。実際の実務ではやはり雑多な業務も山ほどありますし、なかなか専門性を後から身につけてもらうというのも難しいところです。現状はメンバー全員が忙しすぎて必要なスキルや専門知識は業務時間外で身につけるしかない状況ですしね・・・。

とはいえ、まずは理想を目指して徐々にこの目標に近づけていければと思います(マネジメントのベテランさんからみれば、こんなの理想論と言われてしまうかもしれませんが・・・)。

あ、あとやっていることは盛ってはいないんですけど、正直ちゃんと完璧にできていないものも多々あるので、そこ過大評価しないくださいね!(笑)(リーガルチェックもヒアリングもゴリゴリやらないことが多いし、Pマークの運用はスケジュール通りできていないし、コンプライアンス研修で間違ったこと教えちゃったし、株主総会は・・・)

では、またー(^^)

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