収入印紙について頭を悩ませている法務担当の方も多いかと思います。実務では、契約締結後も変更覚書や変更契約書(以下変更契約とします。)という形で、当初の契約内容を変更することも多いかと思います。
今回は、その中でも、当初の契約(請負・月額・自動更新あり・2号文書に該当)の自動更新期間中に取り交わす契約であって、その月額金額を変更する契約書に貼付する印紙について調べてみました。
判断方法
①まず、変更契約が課税物件表に掲げる文書のいずれに該当するかを判断します。
今回は、当初契約(原契約)が2号・7号文書の両方に該当し、契約期間及び月額金額の記載があり契約金額が算定できるため、2号文書とされたケースを前提とします。
そうしますと、変更契約に「○○年〇月〇日付締結の**契約」というように当初契約が示されている場合には、2号と7号の両方に該当する文書となります。
②では、最終的に2号と7号のどちらに該当するのか?
これは、変更契約の文書に契約金額が記載されているかどうかによって決まります。つまり、(1)契約金額が記載されていれば、2号文書(2)契約金額が記載されていなければ7号文書ということになります。
③契約金額が記載されているかどうかの判断方法
契約金額が記載されているかどうかは、月額金額×契約期間により契約金額が計算できるかどうかによります。つまり、月額金額が記載されており、変更契約の有効期間が1年間と記載されているのであれば、契約金額が計算できると言えますし、一方で、月額金額の変更日のみの記載(または変更契約の効力発生日)しかなければ、契約金額の計算ができないということになります。
詳しくはこちらをご参照ください。
国税庁の質疑応答事例では(1)のケースについて、上記の判断過程で説明されております。
国税庁HP:当初契約の自動更新期間中に取り交わす月額金額を変更する契約書の取扱い
自動更新期間前に取り交わす変更契約の場合
自動更新期間前(当初に定められた契約期間中)に取り交わす変更契約の場合は、変更契約書に変更金額が記載されているときは、金額増加の場合には増加金額が記載金額となり、金額減少の場合には、記載金額のないものとなります。
詳しくは、国税庁:印紙税の手引きP9、P10が分かりやすいと思います。
間違えやすいポイント
国税庁の事例では、上記の(1)のケースであって、しかも増額の場合のケースしか記載しておりません。
そのため、減額の場合は常に200円と主張される方もいらっしゃるようです。しかし、税務署にも確認をとりましたが、自動更新期間中に取り交わす契約の場合には、増額や減額は関係がなく、判断方法としては上記の通りのようです。(減額の時にまで印紙を貼らされること自体にはめっちゃ憤りを感じます。笑)
分からないこと・・・
例えば、原契約が1年間+自動更新の請負契約の場合、月額×契約期間(1年間)で記載金額を判断し、印紙額を決定します。これは、自動更新の場合、いつまで契約が続くか分からないから、とりあえず当初の契約期間で印紙税を課税しておくという理解でいいのでしょうか。このような理解であれば、自動更新期間中に取り交わす契約の場合は新たに契約を締結するのと同じように考えるという理屈はとてもしっくりきます。
もう一つ、そもそも印紙税って何に課税しているんでしょうか(特に契約書の場合)。例えば、「各種の経済取引に伴い作成される文書の背後にある経済的利益に担税力を見出し、負担を求める」という理屈の場合、契約書に記載されている契約金額=利益ではないので、何だかしっくりきません。「証拠価値?のある文書を作成すること」という点に着目した場合、増額や減額で取扱いが変わったり、記載金額によって印紙税が変わる点も違和感があります。
印紙税の課税根拠について、理路整然と述べられている書籍やブログなどありましたら教えていただけると嬉しいです。
最後に・・・
印紙税法に関しては、法律としてどうなの?と感じることが結構あり、現時点で嫌いな法律トップ3に入ります。
印紙税法に一番詳しい職種の人は誰なのか問題もありますしね(小声:税務署の電話相談で回答する人によって答え違う時あるし・・・、こちらの伝え方の問題もあるのかもしれませんが・・・。)。
今回は、質疑応答事例も見せつつ相談し、かなり明確に回答を頂けたので割と確実な見解を得られたのかなと思っておりますが、ここ間違ってるよとかあればTwitterのDMなど下さると助かります。
ということで、まとめますと電子契約を推進しましょうねということです(笑)。
では、またー。
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