法務として入社した会社で何をすればいいかわからない・・・・
大学や大学院卒業後、初めて入社した会社の法務担当になった時、法務経験が豊かな先輩がいれば、その方に教えてもらうことができます。しかし、僕がそうでしたが、前任者が辞めていきなり一人法務ということもよくあるようです。
誰も教えてくれる人がいない状態で、自分が考えて動いて何とかするしかない状態で、まずスタートを切るためにやるべきこと(自分が最初にこれやっておけば良かったなぁと今思っていること)をまとめてみました。
事業の理解
まず、一番初めに挙げないといけないのは、自社の事業の理解です。
自社の事業をきちんと理解していないと、そもそも契約書のチェックもできませんよね。
また、事業によって、法規制がされています。例えば、派遣会社であれば派遣法、ホテル業だったら旅館業法、個人情報を取り扱う事業をしていたら個人情報保護法・・・・・。挙げればきりがないくらい法規制はあります。
自社事業に関係する法律を洗い出し、事業が法律に違反する形で行われてしまっていないかということをチェックする必要があります。(ただ、これは入社していきなりゴリゴリやり始めると事業部との信頼関係を築くことができなくなる可能性もあるので、ある程度関係性を作ってから徐々にやっていった方がいいかもしれません。)
組織の理解
会社の組織を理解するには、概ねこのあたりかなと思います。
- 役員の構成を把握する
- 会社の機関設計を確認する
- 履歴事項全部証明書を確認する
- 定款を確認する
- 株主名簿を確認する
- 役員が他社の役員を兼任しているかを確認する
- 出資先の会社を確認する
- 各種議事録(株主総会、取締役会、経営会議など)の管理状況の確認
- 会社の組織図(名前入り)を確認する
- 親会社・子会社の有無と、親会社・子会社の1~9の事項を確認する
まず、役員の構成や機関設計を確認し、履歴事項全部証明書と比較して齟齬がないかを確認します。そして、定款の任期等の記載も確認し、登記懈怠がないかを入念にチェックしましょう。
また、中小企業の法務であれば、株主名簿の確認もしましょう。中小企業の場合は、株主名簿がないとか、よくわからないとか、そういった事態がたまにあります。オーナー企業だと思ってたら、他にも複数人株主がいたとか・・・。
あとは、議事録の管理も大切です。定時株主総会の議事録ぐらいはあるはずですが、定款変更だったり、役員の選任・退任だったり、なんだかんだ議事録が漏れていたりということも・・・。
もしここがきちんと運用されていない会社の場合には、どんな時に株主総会や取締役会が必要なのかを勉強して今後はきちんと作成しておく必要があります。
契約書の管理・押印の管理ができているか
法務業務において、最低限の契約管理は必須です。契約内容が分からない、契約内容を探すのにすごく時間がかかるといった事態になりかねないためです。
そこで最低限の契約管理とは、どれぐらいのレベルのことを言うのでしょうか。
僕は、次の要素を満たすものだと思っています。
- いつ誰が押印したかが分かること
- 契約の担当者(営業担当等)や承認者・決裁者がわかること
- 契約書内容を(書面又はデータで)簡単に確認できること
これを満たすためには、押印(捺印)申請書、押印申請書管理台帳を作成するのが一つの解決方法かなと思います。そのうえで、共有フォルダ内に契約書のPDFを格納していけば、契約内容の確認も簡単にできるようになります。
とはいえ、契約書管理の理想としては以下のような要素も満たしたいところではあります。
- 原契約とその内容を変更する覚書の紐づけ
- 失効済みの契約を別管理
- 契約書原本(紙)保管の外注
- 契約交渉過程の記録
- ひな型との差分確認
- 契約更新タイミングのアラート
- 稟議と押印(捺印)申請書との紐づけ
などなど、挙げればきりがありません(笑)
こういった要素も漏れなく満たすには契約書管理システムを入れることになります。どのシステムもそれなりに費用がかかります。業務効率の程度と予算等を比較検討したうえで、システム導入をするほどでもなければ、最低限の要素を満たした契約書管理の仕組みを作るのがよいと思います。
さいごに・・・
本記事は、僕の失敗の記録でもあります。特に、”事業の理解”と”組織等の理解”です。
入社してすぐの頃は、仕事に追われるという状況にはなりにくいと思います。その時期を使って、事業の理解というのをもっと深くやっておくべきだったなと後悔しています。具体的には、自社商材(システム)を実際に使ってみたり、事業部の業務を体験してみたり・・。
また、組織の理解については、入社当時そこまで目が向けられていませんでした。経営層とコミュニケーションが取れるようになり、色々聞いていくうちにやってないことが色々と気がつくようになってきました。
ガバナンスがガバガバな会社がどれくらいあるのかは分かりませんが、もしそういった会社の法務担当になってしまった方がいらっしゃれば、一緒に頑張りましょう!悩みがあればTwitterのDMでも何でもいいので連絡ください!話を聞くくらいであれば僕にもできます!
では、また!
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