内部監査の仕事は、会社の内部統制や業務の有効性・効率性を評価し、改善提案を行う重要な役割です。
しかし、初めて内部監査部門に配属されると、「どこから勉強を始めればいいの?」と迷う方も多いはず。
本記事では、新人内部監査人が最初に身につけるべき知識とスキルを、基礎理解 → 実務スキル → 応用力の3ステップで解説します。
あわせて、初心者がつまずきやすいポイントとその回避策も紹介します。
ステップ1:内部監査の基本概念を理解する
まずは「監査の目的」と「全体像」を押さえましょう。
目的を理解せずに業務を始めると、調査や報告が形骸化してしまいます。
学習方法
とにもかくにも、グローバル内部監査基準(IIA基準)をまずは流し読みしましょう。
グローバル内部監査基準はこちらから参照できます。
https://www.iiajapan.com/leg/iia/info/2024/20240705_global_ia_std.html
※ドメインⅠ、ドメインⅡという構成になっているものが最新です。属性基準、実施基準という構成になっている者は古いものなので注意。
最初からすべて理解しようとする必要はありません。用語や概念が難しく感じても、「こういうルールや考え方があるのだな」と全体像をつかむことが目的です。
ポイントは、細部よりも構造に注目すること。基準の章立てや分類を押さえておくと、後から必要な部分を参照しやすくなります。
さらに、読み進めながら「これはうちの会社ではどうなっているんだろう?」と自社の内部監査規程と照らし合わせると、抽象的な基準が実務に結びつきやすくなります。
まずは、ここまで到達しよう
・「内部監査の目的」を自分の言葉で説明できる
・内部監査が企業価値の向上につながることが分かる
・内部監査人に必要な行動規範が分かる
・内部監査がちょっと面白そうと思える
つまずきやすいポイント
・全文を最初から細かく理解しようするのはNGです!
・英文の翻訳なので分かりにくい日本語も多々あります。よくわからない文章があっても気にしない!
おすすめ研修
ひとまず内部監査の基礎研修を受けてしまうというのもとても有益です。
内部監査基礎講座がおすすめ
内部監査スターターキットがおすすめ
内部監査入門講座がおすすめ
ステップ2:監査プロセスと手法を学ぶ
次に具体的な監査プロセスを学びましょう。
学習方法
社内の具体的な監査プロセスをまず把握する必要があります。そのため、過去の監査計画書や報告書、その他監査資料等を読み、プロセスを把握しましょう。先輩監査人のインタビューを同席して学ぶというのもとても有益です。
ステップ3:コミュニケーションと報告スキルを磨く
ステップ1とステップ2でひと通り内部監査の仕組みを理解した後は、実践あるのみです。あ、でもグローバル内部監査基準の読み込みは続けましょう。
学ぶべき内容
内部監査の成果は、指摘事項や改善提案が相手に受け入れられて初めて実を結びます。どれほど正確な調査や分析を行っても、伝え方を誤れば抵抗感を招き、改善が進まないこともあります。そこで新人のうちから意識して磨きたいのが、コミュニケーション力と報告スキルです。
まず大切なのは、改善提案の伝え方です。相手の立場や業務状況を理解し、現実的に実行可能な提案に落とし込むことが重要です。「問題点を指摘する」のではなく「より良くするための選択肢を提示する」という姿勢を持つと、相手も前向きに受け止めやすくなります。
次に、監査報告書の作成スキルです。報告書は事実、評価、提言を明確に区分し、経営層が一目で理解できる構成にする必要があります。冒頭に概要(エグゼクティブサマリー)を置き、その後に詳細を記載する構成が効果的です。
また、被監査部門との関係構築も欠かせません。監査は一度きりではなく、継続的な改善を促す活動です。日常的な対話や相談対応を通じて信頼関係を築いておくことで、指摘事項の受け入れや改善実行のスピードが格段に上がります。プレゼンテーションの場では、単なる報告ではなく「なぜ改善が必要か」を共有し、納得感を得られる説明を心がけましょう。
学習方法
・社内の優れた報告書を分析する
・ロープレで改善提案を説明する練習を行う
・コミュニケーション系の研修を受講する。
かんさくんのイチオシ研修
内部監査の効果を高める!ヒアリングスキル向上講座(eラーニング)
コミュニケーション技術の重要性から具体的な質問方法までしっかりと学ぶことができます。実践形式ではなく、座学のみなのですが、頭に入れておくだけでも十分役立つでしょう!
さいごに・・・
ここからは、実践を積みながら、監査系の書籍、法律知識、会計知識を付けていきながらひとつづつ監査スキルをつけていくステップになると思います。僕も、いまここのスタートに立ったところです。
一緒に内部監査人として、成長していきましょう!
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